資金調達2026年2月16日

ベンチャーデットとは?エクイティに頼らない資金調達の選択肢

はじめに

スタートアップの資金調達といえばVC(ベンチャーキャピタル)からのエクイティ調達が主流ですが、近年「ベンチャーデット」という選択肢が注目されています。

ベンチャーデットとは、**スタートアップ向けの融資(デット)**のことです。株式を希薄化させずに資金を調達できるため、エクイティ調達の補完として活用されています。

ベンチャーデットの基本

エクイティとデットの違い

項目 エクイティ(VC調達) ベンチャーデット(融資)
返済義務 なし あり
株式の希薄化 あり なし(原則)
調達コスト 持株比率の放出 金利 + 手数料
審査基準 成長ポテンシャル 一定の売上・資産
調達期間 3〜6ヶ月 1〜3ヶ月

ベンチャーデットの種類

種類 内容
タームローン 一定期間で元利均等返済する通常の融資
レベニューベースドファイナンス(RBF) 売上の一定割合で返済。売上連動型
転換社債(CB) 融資だが、将来のラウンドで株式に転換できる
日本政策金融公庫の創業融資 政府系金融機関による低利の創業向け融資

ベンチャーデットのメリット

1. 株式の希薄化を避けられる

最大のメリットです。エクイティ調達では10〜25%の株式を放出しますが、デットなら持株比率を維持したまま資金を調達できます。

2. 調達スピードが速い

VCからのエクイティ調達は3〜6ヶ月かかりますが、ベンチャーデットは1〜3ヶ月で実行できることが多いです。

3. ランウェイの延長に使える

次のエクイティラウンドまでのつなぎ資金として活用できます。例えば「あと6ヶ月あればKPIを達成してバリュエーションを上げられる」という場合に有効です。

4. エクイティ調達と組み合わせられる

シリーズAで3億円をエクイティ調達 + ベンチャーデットで1億円を融資、のように組み合わせて調達総額を増やすことができます。

ベンチャーデットのデメリット

1. 返済義務がある

エクイティと違い、利息と元本を返済する義務があります。業績が悪化しても返済は続くため、キャッシュフローを圧迫するリスクがあります。

2. 担保・個人保証を求められることがある

特に日本の金融機関では、代表者の個人保証や知的財産権の担保設定を求められることがあります。

3. 財務制限条項(コベナンツ)

融資契約に財務制限条項が付くことがあります。例えば「月次のキャッシュ残高を○○万円以上に維持する」など。これに違反すると一括返済を求められるリスクがあります。

4. ワラント(新株予約権)の付与

ベンチャーデットの提供者に対してワラント(一定の価格で株式を購入できる権利)を付与することがあります。これは実質的に少量の希薄化を伴います。

ベンチャーデットの活用シーン

シーン なぜ有効か
次のラウンドまでのつなぎ KPI達成まで時間を稼ぎ、バリュエーションを上げてから調達
設備投資・採用の前倒し エクイティ調達と並行して即座に資金を投入
黒字化が見えている段階 返済原資の見通しが立つため低リスクで活用可能
エクイティ調達の補完 調達総額を増やしつつ希薄化を抑える

日本で利用できる主なベンチャーデット

提供機関 特徴
日本政策金融公庫 創業融資制度。無担保・無保証人で最大7,200万円
商工組合中央金庫 中小企業向け融資。スタートアップ支援枠あり
地方銀行・信用金庫 地域のスタートアップ支援プログラム
ベンチャーデット専門ファンド SDFキャピタル、Yoii等。成長企業に特化した融資
RBF事業者 Bankers、Flex Capital等。売上連動型の融資

エクイティとデットの使い分け

状況 推奨する調達方法
赤字で売上もない初期段階 エクイティ(VCからの調達)
一定の売上があり成長中 エクイティ + ベンチャーデットの組み合わせ
黒字化が見えている ベンチャーデット中心
大型の成長投資が必要 エクイティ中心 + デットで補完
次のラウンドまでのつなぎ ベンチャーデット

まとめ

ポイント 内容
ベンチャーデットとは スタートアップ向けの融資。希薄化なしで調達可能
最大のメリット 持株比率を維持したまま資金調達できる
最大のリスク 返済義務がある。キャッシュフロー管理が重要
活用の基本 エクイティ調達の補完として使うのが王道
判断基準 返済原資の見通しが立つかどうか

ベンチャーデットは「エクイティかデットか」の二択ではなく、両方を組み合わせて最適な資本構成を作るための手段です。

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タグ:ベンチャーデット資金調達融資スタートアップデットファイナンス

この記事を書いた人

NextFin会計事務所 税理士

税理士。スタートアップ・成長企業の財務戦略、M&A内製化、資金調達を専門とする。大手コンサルティングファームでのM&Aアドバイザリー経験を経て、NextFin会計事務所を設立。

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