資金調達2026年2月10日

スタートアップの資金調達|エクイティとデットの選び方

はじめに

スタートアップにとって、資金調達は成長の生命線です。しかし「VCから調達すべきか、銀行融資にすべきか」という判断は、会社の将来を左右する重要な意思決定です。

この記事では、エクイティ(株式による調達)とデット(融資による調達)の違いを整理し、フェーズごとにどう使い分けるべきかを解説します。

エクイティファイナンスとは

エクイティファイナンスとは、新株を発行して投資家から資金を調達する方法です。VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家からの出資がこれにあたります。

エクイティのメリット

  • 返済義務がない — 融資と違い、毎月の返済が発生しない
  • 大きな金額を調達できる — 事業の成長性次第で数千万〜数十億円も可能
  • 投資家のネットワークを活用できる — VCの持つ人脈・ノウハウが使える
  • 信用力の向上 — 有名VCからの出資は対外的な信用にもなる

エクイティのデメリット

  • 株式の希薄化 — 発行した分だけ創業者の持株比率が下がる
  • 経営への関与 — 株主として取締役会に参加し、意思決定に影響力を持つ
  • 高い期待リターン — VCはIPOやM&Aによるエグジットを前提としている
  • 調達に時間がかかる — デューデリジェンスや交渉に数ヶ月かかることも

デットファイナンスとは

デットファイナンスとは、金融機関や投資家から融資を受けて資金を調達する方法です。銀行融資、日本政策金融公庫、社債発行などが含まれます。

デットのメリット

  • 株式の希薄化がない — 持株比率を維持したまま資金調達できる
  • 経営権を守れる — 融資元が経営に口を出すことは基本的にない
  • 金利が明確 — 返済額が予測可能で、財務計画を立てやすい
  • 調達スピードが速い — 制度融資なら数週間〜1ヶ月で実行されることも

デットのデメリット

  • 返済義務がある — 売上が立たなくても毎月返済が発生する
  • 担保・保証が必要な場合がある — 特に銀行融資では代表者保証を求められることが多い
  • 調達額に上限がある — 信用力や担保に応じた範囲に限定される
  • 赤字企業は借りにくい — スタートアップ初期は審査が通りにくい

エクイティとデットの比較

項目 エクイティ デット
返済義務 なし あり
株式の希薄化 あり なし
経営への関与 あり(株主として) なし(基本的に)
調達可能額 大きい(成長性次第) 限定的(信用力次第)
調達スピード 遅い(数ヶ月) 速い(数週間〜)
適したフェーズ シード〜シリーズ PMF後〜黒字化後
コスト 株式の譲渡(高い) 金利(比較的安い)

フェーズ別:最適な資金調達の選び方

シード期(プロダクト開発段階)

この段階では売上がほとんどなく、銀行融資は難しいのが現実です。

おすすめ:エンジェル投資 + 日本政策金融公庫の創業融資

  • エンジェル投資家から500万〜2,000万円のエクイティ調達
  • 日本政策金融公庫の新創業融資制度で1,000万円前後のデット調達
  • 両方を組み合わせることで、株式の希薄化を抑えつつ十分な資金を確保

アーリー期(PMF前後)

プロダクトが形になり、初期の顧客がつき始めた段階です。

おすすめ:VCからのシリーズA + 制度融資

  • VCからの出資で数千万〜数億円を調達し、成長投資に充てる
  • 売上実績ができてきたら、銀行からの融資も並行して検討
  • エクイティ:デット = 7:3程度のバランスが一般的

グロース期(急成長段階)

売上が伸び、組織も拡大していく段階です。

おすすめ:シリーズB/C + ベンチャーデット + 銀行融資

  • 大型のエクイティラウンドで事業拡大資金を確保
  • ベンチャーデット(新株予約権付融資)も選択肢に
  • 売上の安定性に応じて銀行融資の比率を高める
  • 無駄な株式希薄化を防ぐため、デットを戦略的に活用

IPO準備期

上場を視野に入れた段階では、資本政策が特に重要になります。

おすすめ:デット中心 + 戦略的エクイティ

  • 銀行融資やシンジケートローンで運転資金を確保
  • 上場前の株式発行は最小限に抑え、時価総額の最大化を図る
  • 必要に応じてプレIPOラウンドで戦略的投資家を迎え入れる

資金調達で失敗しないためのポイント

1. バリュエーションを適正に設定する

高すぎるバリュエーションでの調達は、次のラウンドでダウンラウンドになるリスクがあります。市場環境と自社の成長性を冷静に分析しましょう。

2. 資本政策表を早期に作成する

「創業者が最終的に何%の株式を保有したいか」から逆算して、各ラウンドの調達額と放出比率を計画します。これがないと、気づけば持株比率が大きく下がっているケースも。

3. 調達の目的を明確にする

「いくら必要か」だけでなく「何に使うか」「それによって何が達成されるか」を明確にしましょう。投資家にも金融機関にも、資金使途の説明は必須です。

4. 複数の選択肢を同時に検討する

エクイティかデットかの二択ではなく、両方を組み合わせるのが基本です。複数のVCや銀行と並行して交渉し、最適な条件を引き出しましょう。

まとめ

フェーズ 推奨する調達方法
シード期 エンジェル投資 + 創業融資
アーリー期 VC(シリーズA)+ 制度融資
グロース期 VC(シリーズB/C)+ ベンチャーデット + 銀行融資
IPO準備期 デット中心 + 戦略的エクイティ

資金調達は「いくら集めるか」だけでなく、「どう集めるか」が会社の未来を決めます。自社のフェーズと目指す方向を正しく見極め、最適な調達戦略を立てましょう。

NextFin会計事務所では、資金調達の戦略立案から実行まで一貫してサポートしています。エクイティとデットの最適なバランスについて、お気軽にご相談ください。

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タグ:資金調達エクイティデットスタートアップVC

この記事を書いた人

NextFin会計事務所 税理士

税理士。スタートアップ・成長企業の財務戦略、M&A内製化、資金調達を専門とする。大手コンサルティングファームでのM&Aアドバイザリー経験を経て、NextFin会計事務所を設立。

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