資金調達2026年2月13日

事業計画書の書き方|投資家・銀行を納得させるポイント

はじめに

資金調達を成功させるために欠かせないのが事業計画書です。しかし「何を書けばいいかわからない」「数字の根拠が作れない」と悩む経営者は多くいます。

事業計画書は、投資家向け(エクイティ)と銀行向け(デット)で重視されるポイントが異なります。本記事では、両方に対応できる事業計画書の書き方を解説します。

事業計画書に必要な構成

基本の構成(10項目)

項目 内容 ページ目安
1. エグゼクティブサマリー 事業の概要と資金調達の目的 1ページ
2. 会社概要 設立経緯、経営陣、組織体制 1ページ
3. 解決する課題 市場の課題・ペインポイント 1〜2ページ
4. ソリューション 提供するサービス・プロダクト 1〜2ページ
5. 市場規模 TAM / SAM / SOMの分析 1ページ
6. ビジネスモデル 収益構造、単価、課金方法 1〜2ページ
7. 競合分析 競合との差別化ポイント 1ページ
8. 実績・トラクション 売上推移、KPI、顧客数 1ページ
9. 財務計画 3〜5年のP/L、資金繰り計画 2〜3ページ
10. 資金使途 調達額と使い道の内訳 1ページ

各項目の書き方のポイント

1. エグゼクティブサマリー

最も重要なページです。投資家は毎日何十件もの事業計画書を見ているため、最初の1ページで興味を持ってもらえなければ読み進めてもらえません。

書くべき内容:

  • 何をしている会社か(1文で)
  • どんな課題を解決するのか
  • 市場規模はどのくらいか
  • 現在の実績(売上、顧客数など)
  • 今回の調達額と使途
  • 達成したいマイルストーン

2. 解決する課題

投資家が知りたいのは「本当にその課題は存在するのか」「お金を払ってでも解決したい課題なのか」です。

良い書き方:

  • 具体的なデータや事例で課題を証明する
  • 顧客インタビューの声を引用する
  • 既存の代替手段とその不満を明示する

悪い書き方:

  • 抽象的な表現(「〜が非効率です」)
  • データの裏付けがない主張
  • 自分の思い込みだけで語る

3. 市場規模(TAM / SAM / SOM)

指標 意味 計算方法
TAM 最大市場規模 業界全体の市場規模
SAM 獲得可能市場 TAMのうち自社がアプローチ可能な範囲
SOM 実際に獲得を目指す市場 SAMのうち現実的に取れるシェア

投資家はTAMの大きさだけでなく、SAMからSOMへの到達シナリオが現実的かどうかを見ています。

4. 財務計画の作り方

財務計画は事業計画書のハイライトです。**「根拠のある数字」**を作ることが重要です。

売上計画の作り方

ボトムアップ方式(推奨):

月間売上 = 新規顧客数 × 単価 + 既存顧客数 × 単価 × 継続率
  • 営業人員数 × 1人あたり商談数 × 成約率 = 新規顧客数
  • 広告費 ÷ CPA = 新規リード数 → × 成約率 = 新規顧客数

トップダウン方式(補助的に使用):

市場規模 × 目標シェア = 売上目標

ボトムアップで積み上げた数字と、トップダウンで算出した数字をクロスチェックすることで、説得力のある計画になります。

P/L(損益計算書)の構成

3〜5年分の年次P/Lを作成し、月次に分解します。

項目 1年目 2年目 3年目
売上高 ○○万円 ○○万円 ○○万円
売上原価
売上総利益
販管費(人件費)
販管費(広告宣伝費)
販管費(その他)
営業利益

5. 資金使途

調達したお金を何にいくら使うかを明確にします。

良い例:

  • エンジニア採用(3名):2,400万円
  • マーケティング費用:1,200万円
  • オフィス移転・設備:600万円
  • 運転資金(6ヶ月分):1,800万円
  • 合計:6,000万円

悪い例:

  • 事業拡大のため:6,000万円(←具体性がなさすぎる)

投資家向けと銀行向けの違い

項目 投資家(VC) 銀行
重視するポイント 成長性、市場規模、エグジット 返済能力、安定性、担保
求める計画期間 3〜5年 1〜3年
売上計画 急成長シナリオ 保守的なシナリオ
赤字の許容 成長投資として許容 赤字は基本NG
重要な数字 MRR、CAC、LTV、バーンレート 営業利益、CF、返済原資
資金使途 成長投資(採用・マーケ) 設備資金・運転資金

同じ事業でも、提出先に合わせて計画書の「トーン」を変えることが重要です。

事業計画書でよくある失敗

1. 数字に根拠がない

「3年後に売上10億円」と書いても、その根拠が示されていなければ説得力はゼロです。すべての数字に計算ロジックを用意しましょう。

2. 競合分析が甘い

「競合はいません」は投資家にとって最大のレッドフラグです。直接競合だけでなく、間接競合や代替手段も含めて分析し、自社の優位性を明確にしましょう。

3. チームの説明が不十分

投資家は「何をやるか」と同じくらい「誰がやるか」を重視します。経営チームの経歴、専門性、なぜこの事業をやるのかを丁寧に説明しましょう。

4. 楽観的すぎるシナリオ

ベストケースしか示さないのは危険です。ベース・ベスト・ワーストの3シナリオを用意し、リスクを認識していることを示しましょう。

5. 資金繰り計画がない

P/Lだけでは不十分です。キャッシュフロー計画を作り、「いつ資金が不足するか」「調達した資金で何ヶ月持つか(ランウェイ)」を明示しましょう。

まとめ

ポイント 内容
最重要 エグゼクティブサマリーで興味を引く
数字の作り方 ボトムアップ×トップダウンのクロスチェック
提出先別の対応 投資家には成長性、銀行には安定性を強調
失敗を防ぐ 3シナリオ用意、数字の根拠を明示

事業計画書は「完璧に作ってから提出」ではなく、フィードバックを受けながらブラッシュアップしていくものです。まず叩き台を作り、専門家や投資家の意見を取り入れながら磨いていきましょう。

NextFin会計事務所では、資金調達に強い事業計画書の作成を支援しています。数字の作り方から投資家向けのプレゼン資料まで、一貫してサポート可能です。

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タグ:事業計画書資金調達VC銀行融資スタートアップ

この記事を書いた人

NextFin会計事務所 税理士

税理士。スタートアップ・成長企業の財務戦略、M&A内製化、資金調達を専門とする。大手コンサルティングファームでのM&Aアドバイザリー経験を経て、NextFin会計事務所を設立。

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